Windows Azure 環境への ArcGIS Server インストール(参考情報)

(本記事は、Esri社(米国)のブログ記事「Using ArcGIS Server in Windows Azure」を翻訳、抜粋したものです)

注:本記事の内容は、現時点では正式サポート範囲外であり、あくまでも技術的な参考情報としてご提供するものです。

この記事では、最近よく聞かれる「Windows Azure クラウドプラットフォームで、どのようにしてArcGIS Server を動作させるのか?」というご質問への回答をご提供したいと思います。詳細へ入る前に、一つ注意していただきたいのは、Esri は Azure 上での ArcGIS Server の運用について、まだ検証を完了していないということです。私どもはマイクロソフト社と密接な連携を取って最良の方法を模索しておりますが、現時点では残念ながら Azure 上での ArcGIS Server の運用をサポート可能なソリューションとしてご提供することはできません。

とは言え、Azure クラウドで ArcGIS Server を動かしてみることにご興味をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、覚書として下記にまとめてみました。


Windows Azure とは何か、どのように ArcGIS Server を動作させるのか

Windows Azure はマイクロソフト社のクラウドプラットフォームであり、主に開発者コミュニティをターゲットにしています。Microsoft Visual Studio と、Azure から提供される API を使用することにより、Azure のクラウド能力を活用した Web アプリケーションを開発することができます。その同じ環境で、ArcGIS Server を動作させるということです。

ArcGIS Server を Windows Azure クラウド上で動作させるには、まず Windows Server 2008 R2の Hyper-V ロールを用いて、ArcGIS Server がインストールされた Hyper-V 仮想マシン(以下、「VM」)を構築する必要があります。そして、Azure SDK ツールで VM を Azure へアップロードするのです。

準備作業と Azure VM ロールのアップロード

MSDN(Microsoft Developer Network) の解説ページでは、Windows Azure での「VM ロール」の作成と配置の手順が説明されています。この手順に従って操作すれば ArcGIS Server を Windows Azure 上に配置することができますが、いくつかの注意事項があります。
(※リンク先ページがなくなりました。ご了承ください)

前述の手順を開始する前に、Windows Azure のアカウントを作成し、Windows Live ID と関連付ける必要があります。これにより、ArcGIS Server を Azure 上で動作させるために必要な Windows Azure VM ロールへのアクセスが可能となります。

注:元記事では、「前述の MSDN 記事では、VM ロールはベータ版であるとされておりますが、これは古い情報で、VM ロールは既に正式リリースされた機能です」という記述がありますが、日本マイクロソフト株式会社様へ確認したところ、本機能は現時点では依然としてベータ版である(つまり、Azure のアカウントを持っているだけでは使用できず、別途申請する必要があります)という回答をいただきました。ただし、ベータとはいえ技術サポートを同社からご提供しているとのことです。

前述の手順に従って操作をする際、ArcGIS Server のインストールのタイミングに注意してください。まず、「Task 3」で Azure VM role integration components をインストールする前に ArcGIS Desktop と ArcGIS Server のインストールをおこなってください。ただし、この時点では ArcGIS Server のポストインストールやライセンス認証をおこなわないでください。ポストインストールやライセンス認証は、VM を Windows Azure へ配置した後におこなう必要があります。

「Task 5」の冒頭で、VM ロールが Visual Studio プロジェクトから参照できないという現象が時々発生することを確認しました。もし同じ問題が発生した場合には、まず Azure SDK が最新版かどうか、そしてマイクロソフト社が提示する手順に従って導入がされているかどうかを確認してください。それでも依然として Visual Studio から VM ロールオプションが参照できない場合は、下記のリンクにより、Visual Studio がインストールされているマシンのレジストリを更新してください。
注:下記リンクからダウンロードされるファイル(*.reg)を実行すると、Windows のレジストリが更新されます。本ファイルはマイクロソフト社から提供されている物ですが、実行にあたってはあらかじめレジストリのバックアップを取る等、十分にご注意ください。

32 ビット OS の場合はこちらをクリック(※リンク先ページがなくなりました)

64 ビット OS の場合はこちらをクリック(※リンク先ページがなくなりました)

Task 5 の Step 9 で VM ロールの設定をする際、ArcGIS Server をデフォルトのポート80で運用するのか、それ以外のポートを使用するのかを決めてください。もし ArcGIS Server をデフォルト以外のポートで運用する場合は、Step 9 でそのポートを開ける必要があります。VM を Windows Azure へ配置した後は、同様に Windows ファイアウォールの同じポートを開けてください。

Hyper-V VM が Azure へアップロードされ、Staging 領域または Production 領域のインスタンスとして配置されれば、リモートデスクトップでログインして GIS コンテンツやアプリケーションのインストール、サービスの配信が可能となります。

注意していただきたいのは、上記の手順は ArcGIS Server を単体のマシンへ配置する場合のみに対応したものだということです。この場合、サーバの性能をスケールアップするためには、配置する際に VM のサイズを「small」より大きいもので指定するという方法があります。詳細については、「仮想マシンサイズ」をご覧ください。また、VM の配置が完了した後でも、「Windows Azure Management Portal」を使用して VM のサイズを変更することができます。

データの格納について

ファイルジオデータベースのようなファイル形式のデータを取り扱うためには、2つの手段があります。そのどちらも、データの永続性が保たれることを前提にしていますので、VM の起動や停止に伴ってデータが消失することはありません。

一つ目の手段は、ArcGIS Server がインストールされているのと同じ VM の C ドライブにデータを格納するというものです。これはデータのサイズがそれほど大きくない場合に有効です。VM の C ドライブのサイズは30ギガバイトを超えることはできず、OS やインストール済みソフトウェアは全てその中に置かれています。そのため、大容量を必要とするデータセットを格納するのには向きません。

もし ArcGIS Server で大容量のデータセットを扱いたい場合は、「Windows Azure ストレージ サービス」を使用するという二番目の手段をとられることをお勧めします。ストレージサービスの利用についての詳細は、「Windows Azure ストレージのドキュメント」を御覧ください。

技術サポートについて

本記事の最初で述べましたように、Windows Azure は ArcGIS Server の動作環境としてまだ正式に承認されたものではありませんので、Esri および ESRI ジャパンの技術サポートサービスでは「ArcGIS Server を Azure 上で動作させる手順」についてのサポートをご提供できません。VM ロールのアップロードや、Windows Azure SDK の使用方法等についてご不明の点がありましたら、日本マイクロソフト社の Web サイト「Azure のサポート」をご確認いただき、同社のサポートサービスをご利用ください。

■関連リンク
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