世界の見え方が変わる?変わった世界地図の投影法 3 選

普段私たちがよく見かける世界地図といえば、以下のようなメルカトル図法という投影法を使用した世界地図が有名です。しかし、使用する投影法が変わると世界の見え方や地図の形(輪郭)がまるで違います。本記事では ArcGIS Desktop で 3 種類の投影法を使用して作成した変わった世界地図をご紹介します。比較しながら 1 つずつ見ていきましょう。

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正距方位図法

まずはじめは、地図の輪郭が丸い形の正距方位図法を使用した世界地図です。地図帳や地理の資料集に載っていますので見たことがあるという方もいるかもしれません。「正距」、「方位」という名前の通り中心からの距離と方位が正確です。この世界地図は日本の測量原点を中心にして作りましたので、日本と世界の方位が正しい世界地図です。メルカトル図法の世界地図を見ると日本の真東にある国はアメリカだと思ってしまいますが、実際はチリ(赤で示した細長い国)だということがわかります。

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ボンヌ図法

続いては、地図の輪郭がハートのように見えるボンヌ図法で作成した世界地図です。ボンヌ図法は、中央子午線と標準緯線上ではひずみがなく、これらから離れるとひずみが大きくなるという特徴があります。今回はメルカトル図法と同じように中心子午線を東経 150 度に設定して、日本が中心に表示されるように作りましたので、中心子午線の近くにある日本やオーストラリアはあまりひずんでいませんが、中心子午線から離れた南アメリカ大陸やアフリカ大陸は大きく伸びてしまい、ひずんでしまっています。このため、世界地図には使用されず、フランス、アイルランド、およびモロッコをはじめとする一部の地中海諸国の大縮尺地形図に使用されています。

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ベルクハウス星型図法

最後はベルクハウス星型図法で作成した世界地図です。地図の輪郭が星型で、磯に住むヒトデのようです。この投影法は中心の半球部分は正距方位図法が使われていますので、以下のように北極を中心に作った世界地図の場合は、北極から赤道までの距離と方位は正しいのですが、それ以外の範囲は正しくありません。ボンヌ図法ではひずみが無かったオーストラリアは、この世界地図では二つに分かれてしまっています。ちなみに、この投影法はアメリカ地理学者協会のロゴに使用されています。

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いかがでしたでしょうか。このほかにも様々な投影法を ArcGIS ではサポートしています。他にも変わった投影法が「サポートされている地図投影法のリスト」に載っていますのでチェックしてみてください。

本記事でご紹介した投影法の検索方法

本記事でご紹介した投影法を ArcGIS Desktop で使う場合は、以下のキーワードで検索すると簡単に見つけることができます。使ってみたいという方はお試しください。

正距方位図法: 正距
ボンヌ図法: ボンヌ
ベルクハウス星型図法: star

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使用したデータ

最後に、本記事で使用した世界地図データをご紹介します。今回は、ベースマップと Esri Data & Maps で提供されているサンプル データを使いました。
ベースマップは、ArcMap の [データの追加] ボタン → [ベースマップの追加] から使用できます。

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Esri Data & Maps は ArcGIS Onlineダウンロード ページにて無償でダウンロードできます。(使用するときには、各データの [詳細] から Redistribution Rights をご確認ください。)
※Esri Data & Maps で世界地図データが表示されない場合は、以下のように画面左側にある [ArcGIS Desktop のコンテンツを表示] チェックボックスをオンにしてください。

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