オープンデータに関する記事も第三弾となりました。
第一回はこちら
第二回はこちら
第二回「ArcGIS によるオープンデータ カタログサイトの事例」
さて今回は、内閣官房推奨データセットと、それを活用したオープンデータ カタログサイトのデモサイトをご紹介します。
内閣官房推奨データセットとは?
内閣官房推奨データセット、と文字にすると大変難しいもののように思えますが、その内容はいったいどうなっているのでしょうか。要約すると、内閣官房 IT 総合戦略室によってまとめられた、地方公共団体において公開することが推奨されるデータセットおよびフォーマット標準例を指しています1)。これらは、今後オープンデータに取り組む地方公共団体の指針とするために策定されたものです。地方公共団体の指針と聞くと、データの提供者である地方公共団体にしかメリットがないのではないかと思われるかもしれませんが、もちろんデータの利用者にもメリットがあります。利用者にとっては、提供されるオープンデータのフォーマットが統一されることで、データの利用しやすさが向上します。例えば、複数の都道府県や市区町村にまたがってオープンデータを利用したいとき、データのフォーマットが異なっているとそれらを統一するデータ加工の手間が発生しますが、フォーマットが標準化されることによって、データ加工の手間が大きく減少します。2018 年 9 月現在、14 のデータセットが内閣官房推奨データセットとして策定されています。
内閣官房推奨データセットのフォーマット標準例
内閣官房推奨データセットのひとつである [AED 設置箇所一覧] を例にとり、フォーマット標準例の中身を少し見てみましょう。特に注目してほしいのは、場所の情報についてです。住所のほかに緯度経度座標でも表記されています。住所を用いたアドレスマッチングでは、正しい場所にポイントが落ちないなど期待した結果が得られない場合があります。住所表記は、町名地番の変更が行われたり、住居表示地区に指定されたりした場合などに変更されるからです。一方、緯度経度座標は地球上のある一点を緯度と経度を用いて表す方法です。ある地点を特定できるため、正確な位置にポイントが配置できるようになります。その他にも、利用可能曜日や開始時間 / 終了時間など、利用者にとって有用な情報がフォーマット標準例として既に盛り込まれています。さらに、自治体はこれらの内容に追加する形で独自の項目を盛り込むことが可能です1)。
ArcGIS Open Data を活用した内閣官房推奨データセットの公開例
内閣官房推奨データセットの理解が深まったところで、実際にそれらを活用したオープンデータ カタログサイトをご覧ください。
現在策定されている 14 のデータセットのうち、オープンデータ一覧を除いた 13 のデータセットについて、データセットをダウンロードしたり、デモアプリを試したりすることができます。データセットはタグ付けによってテーマごとに前述のデータセットやアプリをグループ化して検索しやすくできます。
先ほど例として取り上げた [AED 設置箇所一覧] をみると、各データがポイントで表されています。ArcGIS Open Data では、緯度や経度といった座標情報が付与されていれば、特別な処理を必要とせずにデータを可視化することが可能です。
また、データセットはシェープファイル、CSV、KML の形式でダウンロードすることが可能です。さらに、GeoJSON や Esri GeoServices REST 形式の API としても提供され、他のアプリケーションなどから API を介してデータを利用することも可能です。
今回は、内閣官房推奨データセットとそれを活用したオープンデータカタログについてご紹介しました。以下に要点をまとめます。
内閣官房推奨データセットについて
・データ提供者 (地方公共団体) の立場から
→これから取り組みを始める地方公共団体の指針となる。
・データ利用者 (市民 / 企業) の立場から
→複数の都道府県や市区町村など、広い範囲でデータを利用する際に、データ加工の手間が大幅に減少するなど、データの利用しやすさが向上する。
オープンデータカタログについて
・データセットがシェープファイルや KML でダウンロードすることができ、さらに API を介してデータを利用することもできる。
内閣官房推奨データセットについて、より理解を深めたいという方や最新の情報を知りたいという方は、政府 CIO ポータルをご参照ください。
次回は、ArcGIS Open Data を用いて、オープンデータカタログサイトを作成し公開する方法についてご紹介します。
注
- 「推奨データセットについて」 (平成29年 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)
■関連リンク
・GIS 基礎解説: オープンデータ
・業種別ページ: 情報公開 GIS ソリューション
・製品ページ: ArcGIS Online