世界で感染の拡大が続く新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。感染者数は世界で 9 万人、日本国内でも 250 人を超えています。
現在、世界全体や各国・地域での新型コロナウイルスへの感染状況に関する情報が各機関から公開されていますが、米国 Esri の公衆衛生の専門チームがそれらの情報を集約し、2 次利用可能な方法で共有するための Web サイト「COVID-19 GIS Hub」 (英語) を立ち上げました。
COVID-19 GIS Hub には、各国の機関が公開している感染状況の Web アプリや二次利用可能な GIS データが公開されており、日本国内の感染状況においては、ジャッグジャパン様が作成したアプリが掲載されています。
以下に本ブログ記事公開時点 (3 月 4 日) での Web サイトの中身と使い方を簡単に説明します。
Featured dashboard
トップバナーのすぐ下にあるのが注目のダッシュボードということで、現在は国連の専門機関である WHO (世界保健機関) のダッシュボード アプリ「Novel Coronavirus (COVID-19) Situation」が表示されています。
[View the full WHO dashboard] をクリックするとアプリを別ウィンドウで開くことができます。本アプリは Web AppBuilder for ArcGIS の後継となる「ArcGIS Experience Builder」で作成されています。
※画像をクリックすると最新状況のダッシュボード アプリを開くことができます
Applications and Data
Featured dashboard の下はさまざまなアプリやデータをまとめたセクションです。
アプリはさらに 2 つのタイプに大別されています。
Global Applications
WHO のアプリと同様に世界の感染状況を示したマップを紹介しています。ArcGISブログで 1 月 29 日に紹介し、表示回数が 1 億 9 千万回にも上る米国ジョンズ・ホプキンズ大学システム工学センターのダッシュボード アプリ「Coronavirus COVID-19 (2019-nCoV)」はここで紹介されています。
その他にも米国 Esri が作成したストーリーマップ「Mapping the novel coronavirus outbreak」や、ICAO (国際民間航空機関) が作成した 3D マップ「ICAO Coronavirus 3DFX dispersion」など多種多様なアプリが紹介されています。
さらに上部にある [View additional applications here] をクリックすると、トップページで紹介しきれなかったその他のアプリがリスト表示されます。すべてのアプリを表示したい場合は一番下にある [すべてのグループ コンテンツを表示] をクリックしてください。
Regional Applications
中国、香港、イタリアなど特定の国の感染状況を示したアプリを紹介しています。
ジャッグジャパン様のアプリ「都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ Coronavirus COVID-19」は日本地域のアプリとして本セクションで紹介されています。
Global Applications と同様に、上部にある [View additional applications here] をクリックすると、トップページで紹介しきれなかったその他のアプリがリスト表示されます。
Featured Datasets
新型コロナウイルスの分析等で利用できそうな統計データや風況データなどが紹介されています。
[Explore GIS Data for COVID-19] の下のデータ ギャラリーにマウスカーソルを合わせ、[追加] あるいは [追加 (表示可能なレイヤーのみ)] をクリックすると、下のマップ内にデータを追加することができます (各データの説明はタイトル部分をクリックしてください)。
いくつかのデータを追加したのちに [マップの作成] をクリックすると、ArcGIS Online マップビューアーが起動し、自分だけのマップを作成することもできます (マップとして保存するには ArcGIS のアカウントが必要です)。
上記のマップの下にはさらに、新型コロナウイルス関連のデータをオープンデータとして公開しています。
詳細を見るにはそれぞれの [View Data] をクリックしてください。
各オープンデータは GIS データとして閲覧できるだけでなく、Excel スプレッドシート、KML、シェープファイルとしてダウンロードできたり、API でアクセスするための URL を取得できたりするので自身のアプリに組み込んで再利用※することができます。
※データの利用条件はそれぞれのデータの詳細ページをご覧ください。
Newsroom
最下部では各機関の Web サイトや特集記事へのリンク、およびツイート情報を見ることができます。
中段にある「How this company is tracking the coronavirus outbreak」は 2 月 13 日に米国の CNBC で放送された Esri の Dr. Este Geraghty (Chief Medical Officer) へのインタビュービデオですので合わせてご参照ください。
本 Web サイトの構築に使用された ArcGIS Hub について
COVID-19 GIS Hub サイトは以前にも本ブログで紹介した ArcGIS Hub というソリューションで構築されています。ArcGIS Hub はあらかじめ用意されたさまざまな Web の部品をレイアウト上に配置するだけで Web プログラミングの知識がなくとも容易にすばやく Web サイトを作成したり、 オープンデータ公開機能を提供したりすることができ、室蘭市や東京都世田谷区など日本のいくつかの自治体でも採用されています。
ArcGIS Hub にはその他にもさまざまな機能が付属していますが、Web サイト構築キットとオープンデータ公開機能は ArcGIS Online に標準で付属していますので、ArcGIS Online ユーザーは誰でも COVID-19 GIS Hub サイトと同様のサイトを作成し、情報を一般公開することができます。
ArcGIS Hub の詳細については以下のブログシリーズ記事をご覧ください。
- オープンデータの現状と ArcGIS での対応について
- ArcGIS によるオープンデータ カタログサイトの事例
- ArcGIS Open Data で作成した内閣官房推奨データセットカタログサイトを紹介します!
- 自治体職員の方に朗報! ArcGIS Online があればオープンデータ サイトは構築できます!
- ArcGIS ではじめるオープンデータ活用!ノンコーディングでアプリ作成をしましょう!
最後に
弊社スタッフも新型コロナウイルスが一刻も早く鎮静化することを願ってやみません。本ブログでは今後も新型コロナウイルスに関する情報提供を随時行ってまいります。今回公開された COVID-19 GIS Hub サイトをはじめ、GIS アプリや GIS データが新型コロナウイルスの対策および対応に少しでもお役に立てれば幸いです。
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト (ニュース):
・新型コロナ感染 日本国内・世界各国マップ
・【日本国内】都道府県別新型コロナウイルス感染症患者数マップ
・新型コロナウイルス感染状況ダッシュボード
ArcGISブログサイト:
・新型コロナウイルス 各国の感染状況マップ
・新型コロナウイルスの感染状況に関するマップ