高機能デスクトップ GIS である ArcGIS Pro 3.0 が 2022 年 8 月 11 日 (日本時間 8 月 12 日) にリリースされました。多くの機能が追加されましたが、今回は BIM/CIM、CAD に関連する新機能の一部をご紹介します。
目次
Infrastructure レイヤー
ArcGIS Pro 3.0 より、Infrastructure の専門分野レイヤーがビルディング レイヤーとして追加され、Revit ファイルに含まれる橋梁要素がサポートされました。また橋梁、道路、鉄道などの公共インフラ要素を含む IFC ファイルについても、Infrastructure 専門分野に含まれるようになりました。
Revit Infrastructure 専門分野のカテゴリ
- Abutments: 橋端部基礎
- Beams: 構造的橋桁、桁
- Bearings: 橋梁支承
- Decks: 橋梁甲板面
- Framing: さまざまな構造的橋梁エレメント
- Piers: 橋脚
- Tendons: 橋梁引張部材、ケーブル
IFC Infrastructure 専門分野のカテゴリ
- Courses: 車道/鉄道コース、コリドー
- Kerbs: 車道の縁石
- Pavement: 車道舗装
- Rails: 鉄道の線路
- Signals: 鉄道の信号
座標系
CAD データにおける座標系の機能も強化されています。これまで ESPG または WKID を含む DWG ファイル (*.dwg) を読み込む場合、ArcGIS Pro がその座標系を認識するためには PRJ ファイル (*.prj) も必要でしたが、今回のアップデートによって、PRJ ファイルを含まない DWG ファイルに対しても、 ArcGIS Pro ではその座標系を認識できるようになりました。たとえば、CAD での座標系が設定されていると、自動で座標系が認識されるため、ArcGIS Pro で [投影法の定義] ツールを実行し、改めて PRJ ファイルを作成する必要がなくなったため、さらに便利になりました。
投影法の定義
[投影法の定義] ジオプロセシング ツールの機能も強化されています。ArcGIS Pro 3.0 で [投影法の定義] を行うと、既存のワールド ファイル (*.wld3) も更新されるようになり、ツール実行後は地理的に調整された BIM の位置を保持するようになりました。
※既存のワールド ファイルの情報に対して上書きをするため、元の座標値の情報を保持しておきたい場合は、ツール実行前にバックアップをしておくことを推奨します。
この他にも ArcGIS Pro 3.0 では新しい機能の追加や既存機能の改善がされています。その他の新機能についての詳細は、Web ヘルプをご参照ください。
関連リンク
- ニュース: ArcGIS Pro 3.0 リリース
- 基礎解説: BIM/CIM と GIS について
- ヘルプ: BIMデータについて
- ヘルプ: サポートされている BIM ジオメトリについて
- ヘルプ: 座標系について