ArcGIS Living Atlas of the World(以下 Living Atlas)とは、全世界を対象にした Esri の提供するコンテンツに加え、各国のユーザーが ArcGIS 製品で自由に使えるコンテンツを提供しているサービスです。
Living Atlas には、米国 Esri 社や世界中の ArcGIS ユーザーが日々新たなコンテンツを追加しています。
本ブログでは、ESRIジャパンが 2022 年 7 月から 2023 年 6 月の 1 年間で登録したコンテンツのうち、反響の大きかったものをご紹介します。ご紹介するコンテンツも含め Living Atlas 上のコンテンツの多くは、無償で ArcGIS 上に簡単に追加し、利用することができます。(参考:ArcGIS Online の Living Atlas を利用する)
目次
3D 都市モデル(Project PLATEAU)
2022 年 7 月から 2023 年 3 月にかけて、Living Atlas に札幌市や横浜市など全 56 都市の 3D 都市モデルを登録しました。
Living Atlas に登録した 3D 都市モデルのデータは、建物の高さや建物の利用現況など建物に関する情報だけでなく、都市計画区域や、土砂災害警戒区域・津波浸水想定区域・洪水浸水想定区域などの災害リスク情報も属性としてもっています。
ぜひ、皆さんが住んでいる地域を PLATEAU で見てみてはいかがでしょうか。
登記所備付地図データ
続いてご紹介するのは 2023 年 1 月に G空間情報センターで公開されて以来、注目を集めている法務省 登記所備付地図データです。地番情報を地図上で確認したり、本記事でご紹介する災害リスクデータなどの他データと重ね合わせたりしてご利用いただけます。
現在 Living Atlas に登録されているのは公共座標系が定義されている範囲のうち東京都と愛知県のデータのみですが、登録範囲は今後拡大する予定です。
災害リスクデータ
災害情報マップ
災害情報マップは、土砂災害警戒区域、高潮浸水想定区域、津波浸水想定、洪水浸水想定区域のレイヤーをまとめたものです。主な災害リスクデータはこちらのマップに包括しています。
南海トラフ 津波浸水分布図
G空間情報センターから公開されている、南海トラフの震度分布と浸水域等に関するデータです。こちらのデータはその地域の津波による浸水深と、津波が各高さ( 1 cm ~ 40 m )に到達するまでの時間(秒)を属性としてもっています。
こちらのデータは、大すべり域・超大すべり域の設定位置ごとに 4 つのケースに分かれてLiving Atlas に登録されています。
(画像のリンク先は南海トラフ 津波浸水分布図 ケース①です。他の 3 ケースは下記リンクをご参照ください)
- 南海トラフ 津波浸水分布図 ケース③(超大すべり域:紀伊半島沖-四国沖)
- 南海トラフ 津波浸水分布図 ケース④(超大すべり域:四国沖)
- 南海トラフ 津波浸水分布図 ケース⑤(超大すべり域:四国沖-九州沖)
国土数値情報
国土数値情報で公開している災害リスクデータのうち、洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、地すべり防止区域そして津波浸水想定区域のデータを更新しました。これらのデータは以前より Living Atlas に登録しているデータではありますが、国土数値情報に新しい年度のデータが公開されたため、更新を行いました。
例えば津波浸水想定区域では新たに北海道、青森県、福島県のデータが整備されています。
また、洪水浸水想定区域も新たに令和 3 年度整備分までのデータを追加したことで、カバー範囲が広がりました。こちらのレイヤーは国土数値情報の洪水浸水想定区域を使用したレイヤーです。現在国土数値情報で公開されているのは一部であるため、全国をカバーしていませんが、このレイヤーはフィーチャ ーレイヤーとして公開しているため、空間解析等の利用が可能です。全国をカバーした洪水浸水想定区域データとしては、地理院タイルの洪水浸水想定区域データがあります。閲覧のみの場合は、洪水浸水想定区域(地理院タイル)、解析を行いたい場合は国土数値情報の洪水浸水想定区域(解析用)、と使い分けていただければ幸いです。
これらの災害リスク系のデータを ArcGIS Online の Web マップ上に重ね合わせることで、お住まいの地域の災害リスクを把握することができます。
国土数値情報
そのほか、国土数値情報で公開されているデータのうち、オープンデータとして使用可能なものは順次登録・更新を行っています。例えば、この 1 年間で地価公示価格や、鉄道データや駅データ等を更新しています。また、新たに豪雪地帯のデータを登録しました。こちらのデータは、豪雪地帯対策特別措置法に基づき地域指定された市町村を豪雪地帯と特別豪雪地帯で区分したものです。
サービス名 | 国土数値情報の更新時期 |
---|---|
土砂災害警戒区域 | 6~7 月頃 |
鉄道データ | 6~7 月頃 |
駅 | 6~7 月頃 |
駅名ポイント | 6~7 月頃 |
災害危険区域 | 6~7 月頃 |
地すべり防止区域 | 6~7 月頃 |
洪水浸水想定区域 | 6~7 月頃 |
高潮浸水想定区域 | 6~7 月頃 |
津波浸水想定区域 | 6~7 月頃 |
都道府県地価調査 | 9 月末 |
地価公示 | 3 月末 |
※ 更新時期は変更になる場合があります
人口集中地区
国勢調査の基本単位区を基礎単位とし、市区町村の境域内で人口密度の高い地域として設定された人口集中地区(DID)について、令和 2 年の国勢調査をベースとして作成したものが Living Atlas に登録されています。
都市的地域の性質を明らかにする人口集中地区は、民間の市場調査などでもご活用いただけるデータとなっております。また、人口集中地区で無人航空機(ドローン等)を飛行させるためには国土交通大臣の許可が必要です。新たに人口集中地区となった場所もありますので、ぜひ無償でご利用いただけるこちらのデータをご確認いただければと思います。
まとめ
その他にも、この期間で様々なデータを登録及び更新しています。例えば、ジオイドデータや、脱炭素化で話題の CO₂ 排出量データなどが登録されました。
データを見るだけであれば、すぐに ArcGIS Online 上で見ることもできますし、Living Atlas に登録しているデータを重ね合わせて、お客様独自の Web マップの作成や ArcGIS Apps を利用したアプリの開発も可能です。
ぜひ新しく登録した Living Atlas のコンテンツを活用してみてはいかがでしょうか。