ArcGIS Online では個人または組織が保有するデータを必要に応じて共有することができます。しかし共有したいデータが、保有する全データであるとは限りませんし、目的に応じて共有するデータをフィルターすることで意味のあるデータを共有することが可能になります。
今回はそんな便利な機能であるホスト フィーチャ レイヤー ビュー (以下、「ビュー」) についてご紹介いたします。
ホスト フィーチャ レイヤー ビューとは？
元データとなるホスト フィーチャ レイヤーから必要な情報のみをフィルターして、フィルターしたデータのみのビューを作成することを「ホスト フィーチャ レイヤー ビューの作成」といいます。
Map Viewer 上でもフィルターを行い共有する情報を制限できますが、これはあくまで設定を行った Web マップ上でのみ有効です。そのため同じホスト フィーチャ レイヤーを使用して新しい Web マップを作成する場合には再度フィルター処理を行う必要があります。しかしビューであれば予めフィルター処理されているので、再度フィルター処理を行う必要がなくなります。
またビューに対しても詳細に権限を設定できます。たとえば、元データであるホスト フィーチャ レイヤーが編集可能であっても、ビューは編集不可にして、参照専用として扱うことができます。
このほかにも必要な情報や権限に絞ったビューは、元データと異なる共有レベルに設定できるため、編集可能な元データは組織内に共有し、参照専用のビューはパブリックに公開するといった使い方もできます。
ビューの作成方法
今回は以下のような京都府全域の避難所レイヤーを基に京都市中心部の避難所だけを表示するビューを作成します。
- ArcGIS Online に、ビューを作成するホスト フィーチャ レイヤーの所有者としてサインインします。
- ビューを作成したいホスト フィーチャ レイヤーの詳細を表示して [ビュー レイヤーを作成] をクリックし、[ビュー レイヤー] を選択します。
選択すると「ビュー レイヤーを作成」ウィンドウが開きます。
- 「避難所_京都市」レイヤーが選択されていることを確認し、[次へ] をクリックし、レイヤーの定義を設定します。
- 今回は [対象地域] で京都市中心部の任意の範囲を選択してビューを作成します。
範囲を選択出来たら [戻る] をクリックします。
ビューの定義で設定できるオプション
ビューの定義オプションで設定できるオプションは以下の通りです。
フィルターの追加
レイヤー内のフィールドに条件式を定義することで、ビューのフィーチャをフィルター処理します。
Ex) 住所に「京都府京都市」の文字が含まれるデータのみを表示する場合対象地域
空間範囲を定義することでビューに表示するフィーチャをフィルター処理します。
Ex) [ポリゴン] を使用して任意の空間範囲を定義する場合フィールド
ビュー上で表示したいフィールドだけを選択します。
Ex)「名称」や「住所」などの最低限のフィールドを表示する場合また異なるオプションを組み合わせてビューの定義を行うことも可能です。
例えば、以下の条件で組み合わせることができます。
条件① [フィルターの追加] で「京都府京都市」の文字が含まれる
条件② [フィールド] で「名称」「施設の種類」「収容可能人数」のみを設定
- [次へ] をクリックし、[タイトル] や [タグ]、[サマリー] を入力します。入力できたら [＋ 作成] をクリックすると Feature layer (ホスト、ビュー) が作成されます。
- [設定] タブに移動して、[編集の有効化] をオンにすることでビュー上のフィーチャを編集することができるようになります。この設定はビューの元データであるホスト フィーチャ レイヤーには影響を与えません。
- [ビジュアライゼーション] タブでシンボルやポップアップを設定することで視認性の高い可視化が実現できます。ここでの設定も元データには影響を与えません。
作成したビューの定義の変更
ビューを作成する際に設定した定義は変更することができます。
- ビューの詳細ページから [設定] タブを開きます。
- Feature layer (ホスト、ビュー) セクション内の [ビューの更新] をクリックします。
- 「ビューの更新」ウィンドウが表示されるので、ビューの定義オプションで定義を再設定します。再設定したら [戻る] → [＋ 更新] をクリックします。
以上で、ビューの定義の更新は完了です。
おわりに
ビューを作成し、共有することで見せたい情報を制限できます。
またビューの元データであるホスト フィーチャ レイヤーを更新すると自動的にビューの情報も更新されるので、常に最新の情報をビューで確認することができます。
災害対策の場であれば、避難所のデータをエリア (市区町村や小地域単位) や条件 (バリアフリーの有無) に絞って一般に公開することもできます。
ビジネスの場では、経営層が全データを閲覧できるのに対して、一般社員は限られたデータのみ閲覧可能という制限を課すこともできます。
この機会にビューを使ってみてはいかがでしょうか。