前回の記事「ArcGIS Web AppBuilder から ArcGIS Experience Builder に移行しよう – 両製品の違いと移行のメリット」では、両製品が採用しているテクノロジーや機能の違いについて比較し、移行のメリットについてご紹介しました。
今回は ArcGIS Web AppBuilder (以下、Web AppBuilder) から ArcGIS Experience Builder (以下、Experience Builder) への移行に向けて、移行作業のフローを示しつつ両製品の機能面についてウィジェットを中心にさらに深堀りしてご紹介します。
目次
移行に向けた作業フローの全体像を確認
最初に、移行に向けてどのようなアクションが必要か確認します。
Web AppBuilder から Experience Builder へ移行する際、作成済みアプリの再利用ができないため、新たにアプリを再構築する必要があります。再構築に向けたフローは以下の図の通りです。
移行するウィジェットの選定
まずは Web AppBuilder で使用しているウィジェットや機能、また今後もそれらを利用するかを判定し、Experience Builder に移行するウィジェット・機能を選定します。
Web AppBuilder と Experience Builder のウィジェットを比較
「Web AppBuilder と Experience Builder の機能比較表」を参照し、ウィジェットが移行可能か確認します。上記のヘルプには Web AppBuilder の各ウィジェットと同等の Experience Builder ウィジェットが表形式で示されています。以下の図にウィジェットの移行状況をまとめました。
現在までに多くのウィジェットが Experience Builder でも利用可能となっています。
移行するすべてのウィジェットが Experience Builder で利用可能なことが確認できた場合は、後述の「アプリの再構築」に進み、早速アプリを作って動作を確認してみましょう。
一方で、移行計画外のウィジェットもあります。移行計画外のウィジェットについては次項で説明します。
移行計画外のウィジェットへの対処
Web AppBuilder の一部のウィジェットは、移行計画外のものがあります。
移行計画外のウィジェットの機能を今後も利用したい場合、他の製品の利用を検討するか、カスタム ウィジェットの作成を検討するかの 2 通りの対処方法があります。
他の製品の機能を活用
移行計画外とされているウィジェットでも、Map Viewer や Scene Viewer、Arcade 式の標準機能で対応できたり、ウィジェットなしで Experience Builder で利用可能な場合もあります。
また一部のウィジェットは ArcGIS Instant Apps のテンプレートの機能で対応できるものもあります。
ウィジェットとしては移行計画外なものの、他の製品の機能を活用することで Experience Builder アプリに機能を実装可能なものは以下の図の通りです。
詳細は「レビューアー ダッシュボード ウィジェット」をご参照ください。
カスタム ウィジェットを開発
他の製品の機能でも対応できない、完全に移行計画外の以下のウィジェットを利用したい場合は、カスタム開発が必要です。
カスタム開発には ArcGIS Developer Subscription ライセンスが必要です。詳細は「ArcGIS Developers」をご参照ください。
また ArcGIS Experience Builder (Developer Edition) の開発ガイドについては「ArcGIS Developers 開発リソース集 (esrijapan.github.io)」をご参照ください。
アプリの再構築
Experience Builder ではウィジェットをドラッグ アンド ドロップし、自由にデザインしながらアプリを作成します。
Web AppBuilder でアプリ作成する際とは操作感が異なりますが、ノーコードでアプリ作成が可能です。また以下のように学習関連のドキュメントも公開されています。
Experience Builder ではじめてアプリ作成する方に向けた利用ガイド
ArcGIS Experience Builder 利用ガイド
Learn ArcGIS
ArcGIS Experience Builder を試す
今回は移行に向けて気になるポイントとしてウィジェットの比較をご紹介しました。
次回は「アプリのデザイン」をご紹介する予定です。