GIS を学ぶための本『図解!触って学ぶ ArcGIS Pro』

2024 年 3 月 1 日に古今書院から ArcGIS Pro の解説書、『図解!触って学ぶ ArcGIS Pro』が出版されました。本記事ではこの本を紹介いたします。これから ArcGIS Pro を学ぶ方にお勧めです。

本の特長

この本は ArcMap の解説書『図解! ArcGIS 10 Part1 ‐身近な事例で学ぼう-』をベースに、ArcGIS Pro 版へ改良し出版された本です。従来版と同様に、神奈川県横浜市のデータを中心に身近な事例を取り上げた、ストーリー仕立ての GIS 入門書となっています。他の ArcGIS 解説書は機能ごとに内容がまとまっているものが多いですが、この本では実際の GIS 解析のようにさまざまな機能を組み合わせて操作を行う方法を学ぶことができます。各章ごとに演習の概要、習得できる操作の内容、使用する演習データ (演習データは本書に記載された URL からダウンロード可能)が明確に示され、操作手順も詳しいので、GIS 初心者でも着実に学ぶことができます。さらに、各章末に応用的な内容も紹介されており、より発展的な操作を学びたい読者にも配慮がされています。

この本で学べる ArcGIS Pro の機能

この本ではさまざまな ArcGIS Pro の機能が紹介されていますが、特長的な内容を中心に紹介します。

ジオリファレンス

位置情報を持たない画像データを正しい場所に位置合わせするジオリファレンスは、正しい位置に合わせるには慣れが必要な機能です。この本では、ジオリファレンスの仕組みや操作のコツが紹介されており、読者はダウンロードした演習データで繰り返し練習することで、操作の上達を図ることができます。

水文解析

水文解析は他の ArcGIS Pro 解説書であまり取り扱いがありませんでしたが、この本では 3 章 で取り上げられています。DEM データから河川ネットワークや集水域を作成する方法について補足つきで丁寧に紹介されており、さまざまなツールを組み合わせて行う水文解析の手法を理解することができます。ArcGIS で水文解析を行ってみたい方はご一読をお勧めします。

適地選定

さまざまな条件のレイヤーを重ね合わせて、何らかの適地(例えば、良い引っ越し先や適切な駐車場の建設候補地の選定など)を選ぶ GIS の解析を適地選定と言います。これは複数のツールを組み合わせて実施する応用的な解析手法です。この本では 4 章でラスター データ、5 章でベクター データでの方法をそれぞれ紹介しており、実践的な GIS 解析を体験できます。

GIS データの入手と加工

演習データつきの ArcGIS の解説書では、すぐに演習ができるように加工済みのデータが用意されていますが、実際の業務や研究で ArcGIS を使って解析を行う場合は用意がありません。自分で演習データをダウンロードし、加工して業務や研究で利用できる状態にする作業が必要になります。この本では、基盤地図情報e-Stat国土数値情報のダウンロード方法と加工方法が紹介されています。演習用のデータは用意されていますので、一通りテキストの通りに実施してみて、慣れたらご自身の身近な地域のデータを実際にダウンロードして実施すると応用力が養われるでしょう。なお、基盤地図情報の変換で使用するアドイン ツール「変換ツール (国内データ) for ArcGIS Pro」は、ArcGIS リソース集からダウンロードできます。

書籍情報

図解!触って学ぶArcGIS Pro 

著者: 佐土原 聡、吉田 聡、古屋 貴司、稲垣 景子

発行所: 株式会社古今書院

出版年月日: 2024 年 3 月 1 日

定価: 本体 2,800 円+税

目次

第 1 章 GISとは?

第 2 章 地図の表示・レイアウト

第 3 章 ラスター解析の基礎

第 4 章 ラスター解析

第 5 章 ベクター解析

第 6 章 データの作成・編集 (既存データの統合)

今回ご紹介した本以外にも ArcGIS 関連書籍があります。ぜひ手に取ってみてください。

フォローする