ArcGIS Pro で事前トレーニング済みのディープ ラーニング モデルを利用して点群データから樹木を分類しよう!

はじめに

ArcGIS Pro では、レーザー測量や写真測量で取得できる点群のフォーマットである LAS をサポートしており、複雑で不規則な構造を持つ樹木などの点群も、ディープ ラーニング モデルを使用することで、より高い精度で分類することができます。

今回は、米国 Esri 社が公開している事前トレーニング済みのディープ ラーニング モデルを使用して、点群を樹木 (高植生) とそれ以外に分類する方法をご紹介します。

※本記事でご紹介するツールの使用には ArcGIS 3D Analyst エクステンションが必要です。

事前準備

実行環境の準備

ArcGIS Pro でディープ ラーニングを実行するためには、事前の準備が必要です。その詳細な方法については「ArcGIS Pro で行うディープ ラーニング」を参考に設定してください。

トレーニング済みディープ ラーニング モデルのダウンロード

ArcGIS Living Atlas of the World よりディープラーニングモデルパッケージをダウンロードします。
今回使用するモデルは、以下のページからダウンロードします。
Tree Point Classification – New Zealand

解析手順

  1. ArcGIS Pro でプロジェクトを作成し、分類する点群データを追加します。
    ※点群データを扱うためには座標系の設定が必要です。使用する点群データに座標系が設定されていない場合[投影法の定義] ツールなどを利用して設定してください。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで追加した点群のレイヤーを選択した状態で、[LAS データセット レイヤー] タブ → [シンボル] → [クラス] をクリックします。
    LAS データは地表や建物、樹木などの分類を表すクラス コードを保持しています。ArcGIS Pro では、asprs によって定義された LAS 分類スキーマに則っています。例えば、この分類スキーマでは 1 が未分類、2 が地表、5 が樹木 (高植生) とされています。

    すでに点群にクラスの分類がある場合はクラスで色分けして表示され、未分類の点は灰色で表示されます。

データ出典: VIRTUAL SHIZUOKA 静岡県 伊豆西部 点群データ LPデータ オリジナル・グラウンドデータ、静岡県、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 4.0 国際

  1. [分類] タブ→ [ディープ ラーニング] → [ディープ ラーニング モデルを使用した分類] をクリックします。
    表示された [トレーニング済みモデルを使用して点群を分類] ジオプロセシング ツールで、以下のように各パラメーターを設定します。

    ・[ターゲット点群]: 分類したい点群データ(*.las)
    ・[入力モデル定義]: ダウンロードしたディープ ラーニング モデル パッケージ (*.dlpk)

    ※その他の設定項目については、必要に応じて [トレーニング済みモデルを使用して点群を分類] ツールのヘルプをご参照ください。

  1. [実行] をクリックします。分類結果は、ターゲット点群の既存のクラスコードを上書きする形で出力されます。樹木に分類された点群はクラス コード 5 が割り当てられ、緑色で表示されます。また、それ以外の点群にはクラス コード 0 が割り当てられ、灰色で表示されます。

おわりに

今回は、Living Atlas からダウンロードしたトレーニング済みのディープ ラーニング モデルを使用して、点群データを樹木とそれ以外に分類する方法をご紹介しました。

トレーニング済みのディープ ラーニング モデルでできることや、仕組みについてより詳しく知りたい方は、米国 Esri 社が公開している「事前トレーニング済みディープ ラーニング モデルとは」をご参照ください。

今回は Living Atlas 上で提供されているディープ ラーニング モデルを利用しましたが、目的に合わせたモデルを自身で作成し、より高精度な分類を行うこともできます。詳細については点群分類用のディープ ラーニング モデルのトレーニング (ヘルプ ページ) をご参照ください。

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