Microsoft Power BI のデータのマッピングと可視化および解析のためのアドイン製品である ArcGIS for Power BI のバージョン 2024.2 を 2025 年 1 月にリリースしました。
本バージョンは 1 月 9 日 (米国時間) に提供を開始し、バージョンアップは地域や組織によって随時行われます。ArcGIS for Power BI のバージョンは、Microsoft Power BI の [視覚化] 内の ArcGIS for Power BI ボタンを右クリック → [バージョン情報] をクリックすることで確認できます。
最新バージョンが反映されない場合は、Power BI デスクトップ アプリをご利用の方はアプリを、ブラウザーで Power BI をご利用の方はブラウザーを再起動してご確認ください。
今回のリリースでは、結合レイヤーの大幅な機能強化が行われ直感的な操作感に改善されたり、シンボル スタイルの設定を自在に変更したりできるようになりました。本ブログでは、新しくなった結合レイヤーの使い方を中心に新機能を 3 つご紹介いたします。
結合レイヤー
ArcGIS for Power BI の結合レイヤー機能は Power BI 上のデータと ArcGIS Online 上のデータを関連付けることで Power BI の他のビジュアライゼーションと連動できる機能です。
今回のリリースでは、結合レイヤー作成時にデータの一致精度を確認する「推定一致の精度」を表示したり、条件に一致するレコードの値を集計したり、対象のフィーチャの表示をフィルターまたはハイライト表示できるなど、さまざまな改善が行われました。
新しくなった結合レイヤー機能を、位置情報を持たないデータを都道府県単位でマップ上に可視化する手順を例として説明します。
利用方法は以下のとおりです。
- 都道府県名が含まれたデータを用意し、Power BI にデータを追加します。
- Power BI レポートに標準機能であるスライサーと ArcGIS for Power BI を追加します。
- スライサーの視覚化ウィンドウを開き、以下を設定します。
- フィールド: Power BI で都道府県名を表す列名
- ArcGIS for Power BI の視覚化ウィンドウを開き、以下を設定します。
- 結合レイヤー: Power BI で都道府県名を表す列名
- 結合レイヤー: Power BI で都道府県名を表す列名
これによって結合で使用する Power BI 側のデータが指定できました。
- ArcGIS for Power BI の [レイヤー] タブから [ArcGIS] を開き、以下を実施します。
- [マイ コンテンツ] から [ArcGIS Online] に切り替えます。
- 検索ボックスで「全国都道府県界データ2022」を検索し、クリックして追加します。
- ArcGIS for Power BI 上の [解析] タブを開き、[結合レイヤー] タブで以下を設定します。
- ターゲット レイヤー: 全国都道府県界データ2022
- Power BI データ: Power BI で都道府県名を表す列名
- フィーチャ レイヤー: KEN
※ 「全国都道府県界データ2022」にはフィールド名「KEN」に各都道府県名が含まれています。 - 結合方法: 最初の行のみを選択
- 追加するフィールド: Power BI で都道府県名を表す列名
- 相互作用の動作: フィルター
- 結果レイヤー名: 任意
- [結合の作成] をクリックします。
結合の作成後に「結合レイヤーが作成されました」のメッセージが表示されれば正常に結合されています。結合に使用した元データである「全国都道府県界データ2022」は自動的に非表示に切り替わります。
- スライサーに表示される都道府県名をクリックします。
これによってスライサーの選択によって ArcGIS for Power BI 上の表示が切り替わります。
その他の Power BI 標準ビジュアライゼーションを追加した場合もフィルター表示に対応しています。今回は ArcGIS Online 上に無償で公開されている「全国都道府県界データ2022」を使用しましたが、ArcGIS Online のライセンスがあれば、任意のデータを作成し、結合レイヤーとして使用することもできます。
このように結合レイヤー機能を使用すると、Power BI 上のテーブル データに ArcGIS Online のデータを結合することで簡単に疑似的な位置情報を持たせることができるほか、地理的な傾向の把握が可能になり、より深いデータ分析を実現することができます。
スタイルの設定
ArcGIS Online から追加したレイヤーのスタイルを自由に設定できるようになりました。
設定できる項目は以下のとおりです。
- [スタイル オプション] タブ
- シンボルのスタイル設定
- 色分類
- クラスタリング
- 属性で変更
- [レイヤー プロパティ] タブ
- フィーチャの情報
- レイヤーの表示範囲
- ラベル
- レイヤーの透過表示
- レイヤーの更新
なお、上記のスタイルの設定は Power BI 上のみでの変更であり、ArcGIS Online 上の元データのスタイルは変更されません。
また任意のローカル画像をシンボルとして設定できるカスタム シンボルが利用可能になりました。これによりポイントを最適な表現で可視化できます。
おわりに
ArcGIS for Power BI は高品質なレポート作成を支援する強力なアドイン製品です。より便利になった ArcGIS for Power BI をぜひご活用ください。