前回の LIDAR データ活用ブログでは、ArcGIS 3D Analyst エクステンションのツールを利用して LAS フォーマットの点群データを分類する方法を紹介しました。
LAS データはクラス コードを適用することにより、地表面、建物等に分類することができます。本記事では分類した LAS データから地表面の高さを表す DTM (Digital Terrain Model) データや、建物や木などの地物を含んだ高さを表す DSM (Digital Surface Model) データを作成する方法を紹介します。
目次
[LAS データセット → ラスター] ジオプロセシング ツールについて
今回ラスター データを作成するために使用する [LAS データセット → ラスター] ジオプロセシングツールは LAS データセットが参照する LIDAR データに格納された高さ、強度、あるいは RGB の値を使用してラスターを作成できるツールです。このツールによってラスター化することで、点群にしておくよりもデータが扱い易くなり、たとえば工事の施工前後の差分の抽出などの演算が容易に行えます。
フィルタリングした LAS データセットから標高ラスターを作成する
1. マップに予め分類した LAS データセットを追加します。 (分類方法は前回の LIDAR データ活用ブログをご覧ください。)
【データ出典:静岡県ポイントクラウドデータベース】
2. 分類した情報を利用して地表を表すポイントだけを表示します。
[表示設定] タブ → [LAS ポイント] → [地表] をクリックします。
3. 地表の LAS データセットからラスターを作成します。[LAS データセット → ラスター] ジオプロセシング ツールを起動します。
4. 適宜パラメーターを設定して実行します。
[内挿タイプ] では出力ラスターのセル値の決定方法によって、 [ラスター化] と [TIN 化] を選択できます。
[ラスター化] を選択すると、規則的に並んだ格子状のセルの中に含まれるポイントに基づき、セルの値を決定します。[TIN 化] を選択すると、TIN つまりポイントを不規則な三角形で繋いで補間した値に基づいて、セルの値を決定します。
[サンプリング タイプ] で [セル サイズ] を選択した場合、[サンプリング値] の値がそのまま出力ラスターのセルのサイズとして設定されます。出力ラスターの解像度を高くしたい場合は、この値を小さくします。
各パラメーターの詳細はツールのヘルプをご確認下さい。
5. DTM データが作成されます。
DSM を作成する
同様の方法で、フィルタリングされていない、すべてを含んだ状態の LAS データセットをラスター化すれば DSM データを作成することができます。
RGB を基に作成する
[LAS データセット → ラスター ] ジオプロセシング ツールの [値フィールド] として [RGB] を選択し、すべてを含んだ状態の LAS データセットについてツールを実行すると、オルソ画像のようなラスターを作成できます。
作成したラスター データの利用例
ラスターに変換したことでラスター演算や、サーフェス解析等の処理が簡単に行えるようになります。
例としてここでは、DSM データから DTM データを減算することで、地上からの建物や木の高さがわかる DHM (Digital Height Model) データを作成したいと思います。
6. [画像] タブの [ラスター関数] をクリックします。
7. [ラスター関数] ウィンドウで、[数学関数] → [Minus] をクリックします。
8. [Minus プロパティ] ウィンドウが開きます。
この関数は、1 つ目の入力ラスターの値から 2 つ目の入力ラスターの値をセル単位で減算するので、[ラスター] に DSM データを、[ラスター 2] に DTM データを入力して、[新しいレイヤーの作成] をクリックします。
9. DHM データを作成できました。このように、LAS データセットをラスターに変換することで、簡単に差分の計算ができます。
今回は、LAS データセットからラスターを作成する方法をご紹介しました。分類された LAS データセットは標高のラスター作成以外にも、様々な用途に活用いただけます。次回のブログでは、点群データから 3D 建物データを作成する方法をご紹介します!