国土地理院 5/10 m 標高データが Esri World Elevation サービスで利用可能になりました!

Living Atlas では、ArcGIS での可視化や解析に利用可能なさまざまな標高レイヤーを提供しています。このうち、Esri World Elevation サービスの最新の 6 月アップデートでは、TerrainTopoBathy のデータ ソースに国土地理院の 5/10 m DEM が追加され、より高解像度な日本の標高データが利用できるようになりました!

霧島山 – 鹿児島県(国土地理院 5 m DEM)

この国土地理院の DEM では、一部の地域では 0.2 arc second(約 5 m)解像度データ(レーザー測量もしくは写真測量ベース)、その他の地域では 0.4 arc second(約 10 m)解像度のデータ(地形図の等高線ベース)を利用することが可能です。どの地域でどの解像度が利用可能か、詳細については以下のカバレッジ マップからご確認ください。

データ ソース更新による解像度の向上により、微地形の把握が可能になりました。どれだけ向上したのか、Terrain から生成した多重光源陰影起伏図でアップデート前と後を実際に比較してみましょう!

  • 小さな古墳群の形状まではっきりと確認できるようになりました。

大仙古墳 – 大阪府(左:24 m WorldDEM4Ortho、右:国土地理院 5 m DEM)

  • 細い河川や三日月湖の形状も把握できるようになりました。

阿武隈川 – 福島県(左:24 m WorldDEM4Ortho、右:国土地理院 5 m DEM)

  • 平坦な都市部の小さな凸凹も把握できるようになりました。

高田馬場駅周辺 – 東京都(左:24 m WorldDEM4Ortho、右:国土地理院 5 m DEM)

 

今回のアップデートの最大のメリットは、Esri World Elevation サービスにアクセスすることで、ダウンロードやフォーマット変換、コンパイル、モザイク化処理などの手間なく、日本全国シームレスな国土地理院 DEM をすぐに ArcGIS で利用できるようになった!という点です。また、データをローカルマシンに保存する必要がないため、容量を気にする必要もありません。今まで基盤地図情報 ダウンロードサービスから地域ごとのメッシュデータをダウンロードし、変換や加工をしてから ArcGIS で使っていた、という方には特に朗報ではないでしょうか。

 

 

Esri World Elevation サービスとは?

ここまで最新の 6 月アップデートの内容をお伝えしましたが、そもそも Esri World Elevation サービスって何?という方も多いかもしれません。Esri World Elevation サービスは、米国Esri社が提供する世界標高データのコレクションです。TerrainTopoBathy は世界の標高値をオンライン接続可能なダイナミック イメージ サービス形式で提供しており、解像度やデータ ソースは地域によって異なりますが、世界各地で利用可能な公共データを編纂し、1000 m ~ 3 m 解像度の標高値を提供しています。ArcGIS Online のサブスクリプション アカウントをお持ちでインターネットに接続可能な環境であれば、ArcGIS 各製品からアクセスしてご利用いただけます。※1

TerrainTopoBathy をはじめとする主要なレイヤーは Living Atlas で紹介されています(日本語に翻訳したレイヤーもあります)が、Esri World Elevation サービスのすべてのレイヤーや標高解析ツールを見たいという場合は、ArcGIS Online の Elevation Layers グループをご利用ください。

※1 イメージ サービスとして利用する場合、無償で利用できます。ジオプロセシング サービス(断面図標高の集計可視領域)として標高解析に利用する場合、処理に対して ArcGIS Online サービス クレジットを消費します。

後編予告:Esri World Elevation サービスを使ってみよう!

今回は Esri World Elevation サービスの最新 6 月アップデートについてご紹介しました。進化した Esri World Elevation サービスをぜひ皆さまの解析や可視化にご活用ください!

また、本記事を読んで「使ってみたいけど、どこからアクセスできるの?どんな解析に利用できるの?」と疑問に思った方もご安心ください。後日公開予定の後編記事では、ArcGIS Online や ArcGIS Desktop から Esri World Elevation サービスへアクセスする方法や活用方法についてご紹介します!

※ Esri World Elevation サービスでは、水文解析用のジオプロセシング サービス(下流解析集水域)も提供していますが、日本地域のデータ ソースは 90m HydroSHEDS です。国土地理院 DEM は使用していませんので、ご注意ください。(2018 年 7 月現在)