ArcGIS Spatial Analyst はラスター データの高度な解析を行う際に使用されるエクステンション製品です。画像分類や地形解析、密度解析などラスター データの解析に必要な豊富な機能が提供されております。先日リリースされた ArcGIS Pro 2.5 では、より使いやすく、より高精度な解析を行えるように、距離解析のツールが生まれ変わりました。
今回はその変更点を紹介します。
Spatial Analyst の距離解析では、出発地点からの直線距離や地形の起伏に沿った距離を求めることができます。これらの解析は、以前から ArcToolbox の [距離] ツールセットのツールを使用して実行できましたが、ArcGIS Pro 2.5 では、既存のツールに代わる以下のツールが追加されました。
ツール名 | 従来のツール | 概要 |
距離累積 | コスト距離 | ユークリッド距離、コスト距離、および真のサーフェス距離と、垂直および水平コスト ファクターを考慮して、各セルのソースまでの累積距離を計算 |
コスト バック リンク | ||
ユークリッド距離 | ||
ユークリッド方向 | ||
ユークリッド逆方向 | ||
パスの距離 | ||
パスの距離バック リンク | ||
距離アロケーション | コスト アロケーション | ユークリッド距離、コスト距離、および真のサーフェス距離と、垂直および水平コスト ファクターを考慮して、各セルのソースまでの距離アロケーションを計算 |
ユークリッド アロケーション | ||
パスの距離アロケーション | ||
最適パス (ラスター) | コスト パス | ソースから目的地までの最適な (最小コストの) パスをラスターとして計算 |
最適パス (ライン) | コスト パス (ポリライン) | ソースから目的地までの最適な (最小コストの) パスをポリライン フィーチャクラスとして計算 |
最適リージョン接続 | コスト接続性 | 最適な方法でリージョンを接続 |
これらのツールのうち、[距離累積] ツール、[距離アロケーション] ツールはラスター関数としても提供されています。また既存のラスター関数も更新され、[最小コスト パス] 関数は [距離累積] ツールを使用して歪みのない距離解析を実行するようになり、[コスト パス] 関数は水文フロー パスを判定できる新しいパラメーターが追加されました。
新しいツールは、コストベースの距離解析の結果の精度が向上するよう新しいアルゴリズムが使用されています。これにより、従来のツールで発生していた出力のゆがみが取り除かれます。
従来のツールも [レガシー] ツールセットより引き続き使用できますが、今後はこれらの新ツールの使用をお勧めします。是非この機会にお試しください。
ArcGIS Pro 2.5 では他にも Spatial Analyst 関連の機能が強化されています。詳細は、新機能ページをご覧ください。
ArcGIS Pro をお持ちでない場合は、トライアル版でエクステンションもお試しいただけます。
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