ArcGIS Pro 2.6 新機能:トレース ネットワークのご紹介

ジオプロセシング ツールボックス

今月 9 月 10 日にリリースされた ArcGIS Pro 2.6 のイチオシの新機能として、今回はトレース ネットワークをご紹介します!トレース ネットワークは ArcMap のジオメトリック ネットワーク機能の移行で、河川や鉄道など、シンプルな接続性を持つリソースの流れを追跡することが可能です。
※本機能の利用には Standard 以上のライセンスが必要です。

トレース ネットワーク ツールセット

ArcGIS Pro 2.6 では、下図のようにトレース ネットワーク用のジオプロセシング ツールが追加されています。

ジオプロセシング ツールボックス

トレース ネットワーク解析の流れ

トレース ネットワーク モデルの作成から解析までの流れを簡単にご紹介します。

  1.  データの準備
    ライン データが必要です。
    データの準備
  2. トレース ネットワークの作成
    [トレース ネットワークの作成] ジオプロセシング ツールを実行すると、トレース ネットワーク モデルが作成されます。
    トレースネットワークの作成
  3. トレース ネットワークの有効化
  4. 始点、バリアの設定
    トレースを開始する始点と、バリアを設定します。バリアは例えば河川の場合土砂崩れや水門など、せき止められている場所等を表します。
    始点とバリア
  5. 整合チェックおよびトレース解析の実行
    始点とバリアを設定したら、[整合チェック] を行い、[トレース] 解析を実行します。トレースの種類は「接続パス」、「上流方向」、「下流方向」、「最短パス」が利用できます。
    トレース解析
    フロー方向

フロー方向

[フロー方向の表示] ツールを使用すれば、トレース ネットワークに対して「デジタイズ方向」、「逆デジタイズ方向」、「不定フロー方向」の 3 種類のフロー方向を表示させることができます。

ダイアグラム

ネットワーク ダイアグラム

トレース解析後、選択されたトレースから、さまざまなネットワーク ダイアグラムを作成できます。
ダイアグラム2

ネットワークダイアグラム

ArcMap のジオメトリック ネットワークを ArcGIS Pro のトレース ネットワークに変換

ArcMap で作成したジオメトリック ネットワークは、ArcGIS Pro でジオプロセシング ツールを使用して、トレース ネットワークに変換することができます。この際、元のジオメトリック ネットワーク モデルは上書きされることにご注意ください。

ジオメトリネットワークから変換

ユーティリティ ネットワークとの違い

ガスや配電、配水などのネットワーク管理が可能なユーティリティ ネットワークでもトレース解析が可能ですが、何が違うのでしょうか?大きな違いとしては、ユーティリティ ネットワークでのトレース解析は、設備や付属物、サブネットワークなどの複雑で高度なネットワーク構造内での解析が可能なことに比べ、トレース ネットワークでのトレース解析は、単純に接続性やフロー方向によってトレースする、よりシンプルさを追求した解析が可能であることです。

ユーティリティ ネットワークをご紹介するブログもぜひご覧ください。

設備ネットワークの管理を可能にする ArcGIS Utility Network のご紹介 その1

設備ネットワークの管理を可能にする ArcGIS Utility Network のご紹介 その2

設備ネットワークの管理を可能にする ArcGIS Utility Network のご紹介 その3 (トレース解析のご紹介)

次回の Pro 2.6 の新機能ブログは、対話的にグラフィックスを作成できる「マップ グラフィックス」をご紹介します!

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