2023 年 6 月 14 日 (日本時間 2023 年 6 月 15 日) に、クラウド GIS である ArcGIS Online がアップデートしました。主な機能追加・機能改善の内容をご紹介します。
目次
Map Viewer
関連レコードの編集
Map Viewer で属性編集用のフォームを構成する際に、関連レコードを追加できるようになりました。関連元のフィーチャの編集時に、フォームで構成した関連レコードの属性値も更新・追加することができます。
レイヤーの参照
Map Viewer でレイヤーを参照して追加する際に、アイテムに関する情報がより多く表示されるようになりました。アイテム カードをクリックすると、アイテムの概要、説明、詳細、含まれるレイヤーが表示されます。さらにレイヤーをクリックすると、レイヤー内のフィールドも確認することができます。
これにより、マップに追加すべきレイヤーをより正確に特定できるようになります。この機能は、ArcGIS Online での他のアイテム検索画面でも同様に利用することができます。
グループ レイヤーの排他的な表示設定
Map Viewer でグループ レイヤーを使用している場合、一度にグループ内の 1 つのレイヤーだけを表示できるようになりました。グループ レイヤーのプロパティ ウィンドウの [排他的な表示設定] から設定することができます。グループ レイヤーに多数のレイヤーが含まれている場合に特に便利な設定です。
SVG シンボル
GIF、JPG、PNG ファイルに加え、SVG 画像をアップロードして、シンボルとして利用できるようになりました。SVG は、画像をピクセルではなくベクトルとして保存する形式であるため、画像のぼやけや解像度の低下なしに必要に応じて拡大・縮小することができます。
Map Viewer での解析
ArcGIS Online の Map Viewer では、フィーチャのパターンや関係を定量化するための空間解析ツールと、ArcGIS Image for ArcGIS Online をお持ちの場合はラスター解析ツールを利用できます。
本アップデートにおいて、Map Viewer Classic で提供しているフィーチャおよびラスター解析ツールのほとんどと、新しいツールが利用できるようになりました。
追加されたツール
フィーチャ解析ツール
- 最適な施設の選択
- データの抽出
- 属性と位置による検索
- 類似位置の検索
- レイヤーのマージ
- 中心と分散の集計
ラスター解析ツール
- サーフェスの平滑化
- 累積流量
- 流向
- 流路距離
解析ツール全体の新機能として、入力レイヤーがマップに追加されていなくても、ツール上で直接レイヤーを参照して指定できるようになりました。スケッチ レイヤーを入力として使用することもできます。また、マップに対して解析の環境設定を設定できるようになりました。
ArcGIS Dashboards
ArcGIS Dashboards は、直感的かつインタラクティブなデータ ビジュアライゼーションを使用して、位置を含む情報を簡潔に伝えることができます。ダッシュボードは、意思決定、トレンドの可視化、リアルタイムの状況把握、コミュニティへの情報提供などに利用されています。本アップデートでは、以下の機能が追加されました。
モバイル デバイス向けのビュー
1 つのダッシュボードに、デスクトップ向けとモバイル デバイス向けの 2 つのビューを設定することができるようになりました。モバイル ビューには、デスクトップ ビューと同じ要素や、異なる構成の新しい要素を含めることができ、対象となるデバイスやユーザーに合わせて微調整することができます。
アクセシビリティ
ダッシュボードのアクセシビリティが改善され、より一貫性のあるキーボード ナビゲーション、フォーカス管理、スクリーン リーダー サポートの改善などが行われました。キーボードのタブストップは、各パネル、要素、タブで利用できるようになり、素早くナビゲーションできるようになりました。ダッシュボードの要素に、ARIA 仕様に基づいたアクセシブルな命名ができるようになりました。
ArcGIS Experience Builder
スクロール ページや複数ページなど、柔軟なデザイン構成の Web アプリをノーコードで構築できる ArcGIS Experience Builder では、ベースマップ ギャラリー ウィジェットやスワイプ ウィジェットが新しく追加されました。詳細は、後日ブログにてご紹介します。
データの管理
データの更新ワークフローの機能強化
ホスト フィーチャ レイヤーを上書きしたり、データを追加・更新したりする際のワークフローが更新され、オプションがより直観的に表示されるようになりました。これまで別々のワークフローだったものが 1 つにまとめられ、レイヤーのアイテム概要ページから [データの更新] をクリックすることでアクセスできます。
Data Pipelines (ベータ版)
ArcGIS Online 上で、クラウド ストアを含むさまざまなデータ ソースに接続し、前処理を実施し、有用なフォーマットに変換できる Data Pipelines 機能をベータ版として利用できます。詳細はブログ記事 (英語) をご参照ください。また、本ブログでも後日ご紹介します。
※Data Pipelines の使用には、1 時間あたり 30 クレジットが必要となります。ご注意ください。
組織の管理
アカウント セキュリティの機能強化
組織が多要素認証設定を有効にしている場合、組織のメンバーはセキュリティ キーとリカバリ コードを使用して ArcGIS アカウントにサイン インするオプションを利用できるようになりました。セキュリティ キーは、USB、Bluetooth、NFC などのデバイスや、生体情報を利用したデバイス一体型のプラットフォーム認証で、サイン インの際に、より安全かつ便利に多要素認証を完了することができます。リカバリ コードは、旅行中に携帯電話などの認証アプリにアクセスできなくなった場合に、多要素認証を行うための 1 回限りの使用コードです。
メンバー削除の効率化
組織のメンバーを削除時に、削除するメンバーが所有するアイテムとグループの所有者を変更できるようになりました。これにより、組織メンバーの削除にかかる時間を短縮することができます。
ホーム ページ ギャラリーの機能強化
組織のギャラリーで、注目のコンテンツが表示されるようになりました。ギャラリーに表示するコンテンツを含むグループで注目のコンテンツが設定されている場合、同じ内容がホーム ページ ギャラリーにも適用されます。
メタデータ
新しいメタデータ スタイル「ISO 19115-3 XML スキーマ実装」を使用できるようになりました。また、新しいメタデータ エディター (ベータ版) を使用できるようになりました。アイテム概要のメタデータ ドロップダウンから開くことができます。
その他の新機能はヘルプをご参照ください。