高機能デスクトップ GIS である ArcGIS Pro 3.2 が 2023 年 12 月 14 日 (日本時間 12 月 15 日) にリリースされました。ArcGIS Pro 3.2 では、多くの新しい機能の追加や機能改善が行われました。ここでは、その一部をハイライトでご紹介します!
目次
新機能ハイライト
ジオデータベースのデータモデルのドキュメント化
[スキーマ レポートの生成] ジオプロセシング ツールを実行すると、ジオデータベースのデータモデルのドキュメントが作成できます。作成されたドキュメントでは、データセット、リレーションシップ、ルール、プロパティなどの情報を一覧で確認できます。
ジオデータベースのデータを別のバージョンへ移行する際や、新旧を比較する際などに利用すると大変便利です。ドキュメントは、Excel、JSON、HTML、PDF といった複数の形式で出力可能です。
方向付き画像のサポート
撮影方向の情報を持っている画像において、方向付き画像データセットを作成し、位置をマップ上で可視化して、方向付き画像ビューアーで確認できるようになりました。
方向付き画像データセットの作成には Standard 以上のライセンスが必要です。
なお、Pro 3.2 においては、方向付き画像データセットを共有する際に画像はアクセス可能なクラウドストレージ上に配置することや、方向付き画像ビューアーでは 360 度画像はサポートされていないなどの、既知の制限があります。詳細は方向付き画像データセットをご参照ください。
主題的なマップ シリーズの作成
フィーチャの範囲を利用して設定する空間マップ シリーズ、マップのブックマークを利用して設定するブックマーク マップ シリーズに加えて、ラジオ グループ レイヤーを利用して設定する主題的なマップ シリーズが登場しました。これにより、同じレイアウトでレイヤーを切り替えてマップ シリーズを作成することができます。
編集の制御
ArcGIS Pro では、編集セッションを開始しなくても、データの編集を行ったり、複数のワークスペースを参照しているデータも編集を行ったりできますが、Pro 3.2 からオプションの設定で ArcMap の時と同じように、編集セッションを明示的に開始するようにし、1 つのワークスペースにあるデータのみを編集できるように制御できるようになりました。
3D ベースマップの利用
ArcGIS Living Atlas of the World で公開されている OpenStreetMap 3D レイヤーなどのコンテンツが事前に設定されたベースマップをシーンですぐに利用できるようになりました。ArcGIS Pro での解析結果を 3D で可視化したい場合のベースマップとしても手軽にご利用いただけます。
4 つの新しいフィールド データ タイプ
以下の 4 つの新しいフィールド データ タイプが利用できるようになりました。
- Big integer – 64 ビットの符号付き整数で、非常に大きな整数値を格納できます。
- Timestamp offset – 日付と時刻の値を保存し、協定世界時 (UTC) オフセット (2023/12/14 18:00:00 +09:00 といった形式) を含めることができます。
- Date only – 2023/12/14 などの日付値のみを格納できます。
- Time only – 10:00 など、時刻値のみを格納できます。
これらのデータ タイプには、制限等があります。詳細は ArcGIS フィールド データ タイプをご参照ください。
この他にも ArcGIS Pro 3.2 では新しい機能の追加や既存機能の改善がされています。
新機能についての詳細は、ArcGIS Pro 3.2 の新機能をご参照ください (Web ヘルプには日本国内ではサポートしていない製品の内容も含まれます)。
製品関連ドキュメント・ツールについて
ESRIジャパンが提供する ArcGIS Pro 3.2 のリソースについては、日本国内用のアドイン ツールは 1 月中旬頃、逆引きガイドは 1 月末頃の提供を予定しています。
さいごに
ArcGIS Desktop (ArcMap) は、2024 年 3 月 1 日に開発終了ステータスへ移行し、2026 年 3 月 1 日にリタイアとなる予定です (参照:ArcMap のサポートについて)。「ArcMap からの移行 」ページでは、ArcMap から ArcGIS Pro への移行に参考となる情報を提供しています。ArcGIS Pro への移行がお済でない方は、是非ご覧ください。