ArcGIS Drone2Map (以下 Drone2Map) は、ドローンで取得した画像からオルソ画像や点群データ、3D テクスチャ メッシュなどのプロダクトを作成できるデスクトップ アプリケーションです。Drone2Map ではプロダクト生成処理の実行時に画像コレクションが作成されます。画像コレクションを使用することで、動的表示を行えたり、処理時間を短縮して活用が行えたりといった多くの利点があります。本ブログでは、この画像コレクションについてご紹介します。
画像コレクションとは
画像コレクションとは、Drone2Map で画像を処理することで作成できるモザイク データセットです。モザイク データセットは、複数の画像を格納して管理・検索・解析に利用できるデータ形式です。画像コレクションには以下の 2 つの特徴があります。
- 最初に作成されてオルソ補正される
画像コレクションは処理の開始時に作成され、その画像コレクションはオルソ補正された状態で保存されます。
- 動的に表示を変更できる
Drone2Map で生成した画像コレクションはダイナミック オルソとも呼ばれ、画像の表示順序やモザイク手法を動的に設定することができます。詳細については、以下の記事をご参照ください。
ブログ『ArcGIS で作成できるオルソ画像のご紹介』
画像コレクションの利用方法
画像コレクションは自動で作成・処理されますが、デフォルトではマップに追加されません。
処理前に [管理] ウィンドウで [画像コレクション] の横の矢印をクリックし、設定を行います。
- マップに追加:処理後、画像コレクションが自動でマップに追加されます。
- シームライン:重なり合う画像を処理するための境界線を構築します。
- カラー調整:画像間の継ぎ目が自然になるように調整します。
設定後、[開始] ボタンをクリックして処理を実行します。
画像コレクションの活用例
ここからは、Drone2Map での画像コレクションの利用ケースをご紹介します。
画像コレクションを活用したオルソモザイクの作成
画像コレクションを使用することで、トゥルーオルソとは異なる静的なオルソモザイクを作成することができます。
以下の手順で設定や操作を行います。
- 画像コレクションがマップに追加されているところから始めます。
[コンテンツ] ウィンドウで [画像コレクション] を選択すると、リボン上に [モザイク レイヤー] タブが表示されます。
- [モザイク レイヤー] タブの [画像表示順序] をクリックし、[レコードの並べ替え] に [シームライン] を、[オーバーラップの解決] に [ブレンド] をそれぞれ設定します。
- 画像コレクションが設定によってレンダリングされます。
なお、ここまでの操作では表示が変更されただけで、オルソモザイクはデータとして保存されていません。[ラスターのエクスポート] を使用して、画像コレクションを指定したフォーマットでエクスポートします。これにより、レンダリング調整したオルソモザイクを出力できます。
検査ツールでの利用
画像コレクションは検査ツールをすばやく利用したいときに便利です。検査ツールでは、成果物のトゥルー オルソをベースに検査地点を特定しますが、トゥルー オルソの作成には時間がかかることがあります。その場合、処理プロダクトの選択を画像コレクションのみに設定して処理を実行することで、時間を節約できます。生成した画像コレクションをマップに表示すれば、トゥルー オルソと同等の高解像度の画像をベースに検査を行うことができます。
さいごに
本記事では、画像コレクションの概要や、活用例をご紹介しました。今回挙げた以外にも、マップ上でクリックすることで、オーバーラップしている画像の一覧を取得できるなど、さまざまな使い道があります。簡単な準備で使える画像コレクションを試してみてください!