商圏分析・エリアマーケティング特化型 GIS ソリューション ArcGIS Business Analyst Pro (以下「BA Pro」) に付属するローカル データセットの更新版である「ArcGIS Business Analyst Pro 2025 年版データ」 (以下「本データ」) として 2025 年 4 月 14 日にリリースしました。ここでは、本データの更新内容をご紹介します。
メッシュ データを標準搭載
従来、メッシュ区画のデータは人口総数などの一部指標のみでしたが、推計年収別世帯数、推計貯蓄別世帯数、推計消費額、推計将来人口を含む全指標で利用できるようになりました。この更新により、たとえばカラーコード レイヤーの作成ツールを使って、町丁・字等やメッシュをすぐに切り替えてマッピングできるようになりました。

永田町駅 10km 圏内の 1 世帯当たり貯蓄額を町丁・字等および 4 次メッシュでマッピング
按分集計の精度向上
ArcGIS Business Analyst では人口統計を集計する際に、単純な面積按分ではなく、居住ポイント (Settlement Point) を重みとして利用する按分方法を採用しています。この更新では、日本国内の居住ポイントを改善することで、特に都市郊外における人口集計精度の向上を図っています。
たとえば、下の図は千葉県鴨川市の一部地域における居住ポイントを表しています。2024 年版データまでは、国勢調査の基本単位区ポイントを居住ポイントとして利用していましたが、2025 年版データでは、国勢調査基本単位区と国勢調査 125m メッシュ、建物ポリゴンを使用して ESRIジャパンにて独自に推計したデータに変更しています。下の赤い円で示される商圏内の世帯数を集計する場合、この居住ポイントを重みとして利用して集計するため、2024 年版データでは 266 世帯、2025 年版データでは 36 世帯となり、より実感に近い数値が得られることが分かります。

居住ポイントの変化 (左) 2024 年版データ、(右) 2025 年版データ
データ構造の最適化
ArcGIS Business Analyst 製品が最適に動作するようにデータ構造の見直しを行うことで、パフォーマンスの向上を図るとともに、ArcGIS Business Analyst Web App との連携を強化しました。たとえば、約 10,000 箇所の 1km リング商圏に「人口総数、人口 0-2 歳、事業所数 小売業計」を集計する場合、以前のデータセットでは 1 分以上かかっていた処理が 12 秒で完了するようになっています。また、ArcGIS Business Analyst Web App 上で作成したカスタム インフォグラフィックスを BA Pro にインポートして使いやすくなりました。
この変更に伴い、以前のデータセットから削除された変数や新しく追加された変数が存在します。詳細は製品ページ内の変更点サマリー (XLSX 形式) をご確認ください。

標準搭載インフォグラフィックスの拡充
以下のインフォグラフィックスを新たに標準搭載しました。

各種データ更新
推計年収別世帯数や推計消費額などのデータを最新版に更新するとともに、付属する道路ネットワークや住所ロケーターなどを最新版に更新しました。
おわりに
本データは、ArcGIS Business Analyst 製品の機能を最大限活用するための拡張を行っており、活用いただくことで BA Pro の利便性や解析の幅が向上します。今後も、継続的な機能拡張やデータの拡充を通じて、皆様の業務に役立つソリューションを提供いたします。今後ともご期待ください。