ArcGIS 10 測地成果 2011 対応パックについて

ESRIジャパンは 2012 年 7 月 3 日に「ArcGIS 10 測地成果 2011 対応パック」を Esri 製品サポートサイトで公開しました。(2012 年 10 月 4 日更新)

2011 年東北地方太平洋沖地震による大きな地殻変動が観測された地域の測量成果の改定値が同年 10 月 31 日に国土地理院より公表され、新しい測地成果の名称は「測地成果 2011」と呼ばれます。ArcGIS 10 ユーザは「測地成果 2011 対応パック」をインストールすることにより、地殻変動の影響を受けた地域の GIS データについて、地震前の「測地成果 2010」から現状の「測地成果 2011」に補正することが可能になりました。

そこで、本ブログ記事では、現時点で「測地成果 2011 対応パック」を利用する ArcGIS 10 ユーザが陥りやすい失敗を未然に防ぐための注意事項と利用上のTips(ヒント)をご紹介します。

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「測地成果 2011 対応パック」をインストールするには、Esri 製品サポート サイトにログインして、[ダウンロード] タブにある「ArcGIS 10(Desktop、Engine、Server)測地成果 2011 対応パック」をクリックしてください。移動先の紹介ページから利用製品用のインストーラをダウンロードできますので、手順に従ってインストールしてください。

Tips(ヒント)1:今回公開したバージョンは、変換補正が測地成果 2000 から 2011 への一方向に限られます。そこで、測地成果 2011 のデータを使う際には、ArcMap 上のデータフレームの空間参照を常に測地成果 2011 に設定しておくことをお勧めします。そうすることにより、追加する測地成果 2000 に基づくデータを正しくリアルタイムに投影して測地成果 2011 上に重ねて表示することができます。測地成果 2011 から 2000 への逆方向、あるいは、他の測地基準間の変換補正はサポートされていないのでご注意ください。

Tips(ヒント)2:最初に追加するレイヤのフィーチャクラスの空間参照がデータ フレームの空間参照に設定されます。先ず、空間参照が予め測地成果 2011 であることが明確に分かっているデータ ソースをはじめのレイヤとして選択、追加するよう心がけると間違いが防げます。

Tips(ヒント)3:空間参照の異なるベースマップ レイヤ(背景地図)を ArcGIS Online から追加すると、その時点でデータ フレームの空間参照がリセットされてしまいます。 ベースマップ レイヤは注意して使いましょう。

Tips(ヒント)4:現在「測地成果 2011」に基づいて作成・配布されている GIS データは未だ限られています。さらに、公開データ フォーマットの空間参照情報やメタデータが、例えば DM のように未だ「測地成果 2011」を明確にサポートしていないケースもあります。また、現在流通している変換ツールの中には、例えば ESRIジャパンが提供している国内データ変換ツールのように、まだ「測地成果 2011」に対応していないものが多いのが実情です。レイヤを構成するフィーチャの座標値がどの空間参照に基づいているかについては慎重に判断してください。

(財)日本地図センターのオンラインショップで購入できる災害復興計画基図(測地成果 2011)は、DM フォーマットで公開されています。その製品仕様の記述「座標系:世界測地系に基づく平面直角座標系(東日本大震災による修正を考慮済み)」から、空間参照は「測地成果 2011」に基づいていると判断できます。

DM フォーマットのデータは ArcGIS Desktop の国内データ変換ツールを使ってジオデータベースに変換できます。しかし、測地成果 2011 対応パックをインストールした後でも、現在の国内データ変換ツールの「DM → ジオデータベース」は、 変換時に測地成果 2011 を出力フィーチャクラスの空間参照として指定することができません。

Tips(ヒント)5:災害復興計画基図 DM データは、いったん DM からジオデータベースにデフォルトの測地成果 2000 のデータとして変換した後に、空間参照を測地成果 2011 に再定義する手順を経る必要があります。ArcCatalog または、ArcMap のカタログ ウィンドウ内のアイテム上を右クリックして、プロパティ ダイアログの「 XY 座標系」タブの中の [選択] ボタンをクリックすることにより適切な空間参照を設定できます([ArcCatalog] または [カタログ ウィンドウ] 上のフィーチャクラス → 右クリック → [プロパティ] → 「XY 座標系」タブ → [選択])。

Tips(ヒント)6:複数のレイヤ、あるいはフィーチャクラスの空間参照を定義する時は、ArcToolbox の投影法の定義(Define Projection)ツールのバッチ処理で効率的に空間参照を設定することが可能です([ArcToolbox] → [データ管理ツール] → [投影変換と座標変換] → [投影法の定義(Define Projection)] 右クリック → [バッチ])。

Tips(ヒント)7:今後、測地成果 2011 に投影変換して利用し続けることが明らかなデータについては、ジオプロセシングを使ってデータの座標値自体を測地成果 2000 から測地成果 2011 に変換することにより, 表示時の処理負荷を軽減してパフォーマンスを改善できます([ArcToolbox] → [データ管理ツール] → [投影変換と座標変換] → [フィーチャ]、または、[ラスタ] → 投影変換処理を選択)。

上記でご紹介した座標系と地図投影について、さらに詳しくお知りになりたい方は、サポートサイトの [ドキュメント] タブ → [イベント・セミナー発表資料] → [第 8 回 GIS コミュニティフォーラム 発表資料] のテクニカル セッションのセクションにある「そうだったのか!座標系と地図投影」の[基礎編]と[応用編]、および、好評発売中の「ArcGIS Desktop 逆引きガイド」の [第三章 座標系と投影法] をご参照ください。

ArcGIS 10.1 では、SP1 から測地成果 2011 対応パックを別に追加でインストールする必要がなくなり、さらに使い勝手の向上が予定されています。従って、ArcGIS 10.1 の測地成果 2011 のサポートは、ArcGIS 10.1 SP1 から開始する予定なのでご注意ください。このように、ArcGIS 10、ArcGIS 10.1、ArcGIS 10.1 SP1 と、相次いで測地成果 2011 対応のサポートの内容が変わりますので、ArcGIS 10.1 SP1 のリリースに合わせて、詳細が判明し次第、ArcGIS 10.x(SP*) 測地成果 2011 対応ロードマップ情報をご紹介する予定です。