先日、Sentinel-2 衛星データのイメージ サービスと Web アプリが Living Atlas に公開されました。Esri は Landsat 衛星画像をはじめ、ArcGIS プラットフォームで利用可能なさまざまな画像コンテンツを提供しています。この記事では、新たに公開された Sentinel-2 イメージ サービスについて紹介します。
■ Sentinel-2 とは?
Sentinel-2 は、ESA (欧州宇宙機関) により開発・運用されている Sentinel 衛星シリーズの 2 号機として、現時点で 2A および 2B の 2 機体制で運用されている光学衛星です (Sentinel-2 衛星の詳細な諸元については一般財団法人 リモート・センシング技術センターの Web サイト等を参照ください)。欧州では長期に亘る Sentinel 衛星シリーズの運用を明確化しており、安定的に観測データが提供されることから従来の宇宙関連事業者だけでなく新たに宇宙産業に参入しやすい環境整備が進められています。Sentinel-2 の観測データは ESA の地球観測データプラットフォームや Earth on AWS を通じてオープンデータとして提供されており、最近の世界的な「宇宙利用」の活発化において容易に入手可能な衛星画像データとして注目されています。
■ ArcGIS プラットフォームで利用可能な Sentinel-2 コンテンツ
Living Atlas では、① Sentinel-2 イメージ サービスと② Sentinel Explorer App (Sentinel-2 イメージ サービスの閲覧・簡易な解析が可能な Web アプリ) の 2 つのコンテンツが提供されます。豊富なバンド構成のラスター関数テンプレートが設定されたイメージ サービスが提供されており、速やかに目的のレイヤーを利用することができます。
①Sentinel-2 イメージ サービス
以前のブログでは、Sentinel-2 画像データをダウンロードして利用する方法を紹介しましたが、Sentinel-2 イメージ サービスを利用することでデータをダウンロードすることなく Sentinel-2 の画像データにアクセスすることができます。ArcGIS Online では、Web マップに付加価値を与える時系列画像コンテンツとして、ArcGIS Pro では、ラスター関数や Spatial Analyst 等のラスター解析機能の入力データとしての利用が可能です。
Web アプリでの利用例としては、大規模災害発生後の広域を俯瞰する観測データとして Web アプリにイメージ サービスを重ね、被害状況の把握等への活用が考えられます。
②Sentinel Explorer App
Sentinel Explorer App は、以前のブログで紹介した Landsat Explorer と同等の機能を提供する Sentinel-2 対応版 Web アプリです。この Web アプリでは、時系列に蓄積された観測データの検索、ピクセル値によるマスク、2 時期の画像ペアによる変化抽出など、イメージ サービスの利用を支援するツールが提供されます。さらに、ArcGIS Online ユーザーでサインインしておくことで、マスクされたエリアを ArcGIS Online コンテンツとして保存することができ、他の Web アプリで活用することもできます。
下図は、ハワイ島のキラウェア火山の爆発的噴火による溶岩流の状況を捉えた貴重な画像 (観測日: 2018 年 5 月 24 日) です。たとえば、熱に感度を持つ指標にマスクを適用して溶岩流の範囲を抽出し、建物や道路などの GIS データと組合せて流出範囲内への影響評価などの活用が考えられます。
なお、ArcGIS Online ではイメージ サービスの利用を支援する Web アプリが順次提供され始めており、Sentinel Explorer App のような Web アプリを自身のイメージ サービスと組合わせて利用できる環境が拡充されつつあります。
今後は、これらの画像コンテンツやイメージ サービスを ArcGIS プラットフォームで利活用する際のヒントをご紹介していく予定です。ご期待ください。
■関連リンク
・Living Atlas
・ついにキタ!日本の衛星だいち (ALOS) の衛星画像が無償でダウンロード可能に!
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