高機能デスクトップ GIS である ArcGIS Pro 3.0 が 2022 年 8 月 11 日 (日本時間 8 月 12 日) にリリースされました。ArcGIS Pro 3.0 では、多くの新しい機能の追加や機能改善が行われました。今回はジオコーディングの新機能に加え、ArcGIS Pro 3.0 においての注意点や新しいロケーター情報などをジオコーディング機能のおさらいを交えてご紹介します。
ジオコーディングとは
ジオコーディングとは、住所、地名、目標物、郵便番号などが示す場所に対して座標を付与することです。ArcGIS Pro でジオコーディングを行うには主に 2 つの方法があります。数が少ない場合や簡易的で良い場合は [場所の検索] ツールを使用します。テキストやテーブルなどで大量の住所情報を管理している場合は [テーブルのジオコーディング] ウィンドウまたは [住所のジオコーディング] ジオプロセシング ツールを使用して、住所情報から特定された位置情報付きのデータを作成することができます。
ジオコーデイング ロケーター
ジオコーディングを行うためには、住所情報を持ったテーブルの他に、住所を照合させるための「ロケーター」が必要です。ロケーターには住所とともに位置情報が含まれており、これによりテーブルの住所を照合して位置を付与することができます。
ロケーターは自身で作成することもできますが、データベースを用意したり構築したりするには時間やコストがかかります。今回は、ArcGIS Pro ですぐに使用できるロケーターを 3 つご案内します。
- ArcGIS World Geocoding Service
Esri が提供するオンライン ジオコーディング サービスです。ジオコーディングする際はクレジットを消費します。
- 街区レベル住所
ESRIジャパンが販売するデータ コンテンツ 「スターター パック」に含まれる街区レベルでジオコーディングできるロケーターです。Pro 3.0 対応の最新バージョンは 9 月末頃リリースを予定しています。
- 住居レベル住所
ESRIジャパンが販売するデータ コンテンツ「ArcGIS Geo Suite」に含まれる住居レベルでジオコーディングできるロケーターです。8/12 にリリースされた最新の「住居レベル住所 2023」では ArcGIS Pro 3.0 に対応しています。
ArcGIS Pro 2.6 まで提供していた [住所ロケーターの作成] ジオプロセシング ツールで作成されたロケーターは ArcGIS Pro 3.0 から使用できなくなりました。ArcGIS Pro 3.0 では [ロケーターの作成] ジオプロセシング ツールで作成したロケーターのみ対応となりますので、ご注意ください。本変更に伴う詳細については以下のページをご参照ください。
ArcGIS Pro 3.0 新機能
クレジットの消費量推定
オンライン ロケーターである ArcGIS World Geocoding Service を使用すると、クレジットを消費しますが、Pro 3.0 から [住所のジオコーディング] および [リバース ジオコード] ジオプロセシング ツールを実行する際にクレジットの消費量を推定できるようになりました。ツールを開くと上部に「クレジットを推定します」というメッセージが表示されるので、クリックして推定値を表示します。
住所の再照合の機能改善
住所の再照合機能が改善されました。再照合とは、住所が間違っていたり不十分だったりなどして、ロケーターと一致しなかった場合に正しい位置に修正する機能です。今回の機能改善では、再照合する際、マップ上で再照合した位置を「一致」として実行すると、キャッシュを保存する選択肢のダイアログが表示されるようになりました。保存すると、次回の再照合時に保存した位置が候補としてキャッシュ リストに表示されます。
この他にも Pro 3.0 では [住所の標準化] ジオプロセシング ツール (Pro 2.9 で提供終了) の後継として新たに [住所コンポーネントを分割] ジオプロセシング ツールが登場していますが、こちらは Pro 3.0 では日本に未対応です。