日本の標高の基準

明日、6 月 3 日は、「測量の日」です。これは、現在の測量法は昭和24年6月3日(法律第188号)に公布されました。満40年となった平成元年に、当時の建設省の主唱で 6 月 3 日を「測量の日」と定めました (参考)。

測量の日に関連して、国土地理院では毎年、日本水準原点の公開イベントを実施しています。コロナ禍もあり、4 年ぶりにイベントが開催されました。日本水準原点は国会議事堂前にあるのですが、ESRIジャパンの本社も永田町にあるので、公開イベントを見学してきました。

水準点とは

水準点とは、日本の標高を定めた基準点です。三角点と比べ、高さに関する精度がより詳しく記録されています。日本の標高は平均海面の高さを 0m としていますが、海面の高さは潮の満干があるため一定ではありません。そのため、標高の基準として水準点を定め、国土の高さを測るための基準として幅広く利用されています。

基準水準点(国土地理院 Webサイトより引用)

水準点は、一等水準点、二等水準点などがあり、全国の主要国道等に沿って約2キロメートル毎に設置しており、各地点の高さを測るための基準として利用されています。

一等水準路線図(国土地理院 Webサイトより引用)

日本水準原点

水準点に標高を設定するには、その基準となる高さが必要です。日本の標高の基準は、明治時代に現在の隅田川河口付近にある、霊岸島で数年にわたり平均海面の高さを計測して定められました。これを検潮 (けんちょう) といいます。平均海面 (=om) の高さを基に、国会議事堂付近に日本水準原点を設置し、その高さを標高 24.500m と定めました。その後、1923 年の関東大震災の影響で測りなおした結果 24.414m となり、2011年の東日本大震災の影響で再び測りなおした結果、現在は 24.3900m となっています (参考)。

霊岸島は、その後の埋め立てや河川の流入などで正確な平均海面が求められないことから、その後三浦半島の西岸にある、油壺験潮場に引き継がれ、現在も平均海面が計測されています。実は、現在の東京湾平均海面は東京湾内では測られていないのですね。

日本水準原点がある場所は、国会議事堂前の旧日本陸軍陸地測量部の敷地内に設置されています。現在は憲政記念館の敷地内となっており、誰でも立ち寄ることができます。

日本水準原点の場所

普段見学できるのは、日本水準原点標庫のみで、実際の水準原点は標庫の中に格納されています。この水準原点は、年に一度一般公開され、標高 24.3900m の高さが確認できる目盛を見学できます。国土地理院の方々によって解説もされていました。

標庫の手前にある扉をあけると、推奨に刻まれた目盛が見えます。目盛の中心にある赤い線が 24.3900m です。目盛が刻まれている土台は深く掘り下げられたコンクリートを土台として、花崗岩で作られており、強固な基盤で支えられています。

土台の解説

まとめ

GIS と「高さ」は切っても切り離せない関係にあります。最近は、国土交通省 3D都市モデル「PLATEAU」など、高さ情報を扱った GISデータはたくさんあります。普段なにげなく使用している「高さ」は、明治時代から計測されている地道な測量によって維持されているのです。

弊社に来訪された際は、ぜひ日本水準原点にも立ち寄ってみてください。

関連リンク

フォローする