【WhereNext】CO₂ 排出量の見える化ソリューション

温室効果ガスの排出量データの透明性が高まっているおかげで、今日の世界の消費者は、インターネット検索をすれば簡単に、ほぼすべての活動・製品・場所のおおよその CO₂ 排出量を知ることができます。

スマートフォンの利用者は、カーボンフットプリントを見れば主に原材料の採掘や出荷などの生産プロセスにて、新端末を利用開始した初年度に排出される CO₂ の量が 85Kg であることがわかります。航空機を利用する時も、航空会社の HP 等で CO₂ 排出量の計算が出来るおかげで人事部長は、会社の重役のサンフランシスコからニューヨークまで隔週のフライトによって 1,500Kg の CO₂ が排出されることを知れます。

CO₂ やその他の温室効果ガスは気候変動を加速させており、それが事業の継続性と日常生活を混乱させています。CO₂ 排出量データの公開が進むにつれ、コンテクストの重要性が高まっており地理情報システム (GIS) テクノロジーを使用した新しいアプリケーションでは、人間の目では検出できない CO₂ の排出量を場所と時間のコンテクストで可視化します。

このような技術を通じて、企業のカーボンフットプリントが世間に公開される可能性があり、過剰な排出に対処しなければビジネスコストが増加する可能性があります。

見えない CO₂ の排出量の可視化

地理空間データのサイエンティストと開発者のチームは、気候に焦点を当てたハッカソンの一環として、“Seeing the Unseen” (見えないものを可視化) と呼ばれるアプリを構築しました。このアプリは GIS テクノロジーを使用して、NASA が測定した地理的な地域全体の炭素濃度を示すダッシュボードとして見える化を行います。

このアプリは、英国の町バーンズリーでどのように CO₂ が排出されているかを示しています。アプリの作成者は、どの自治体も最終的に同じテクノロジーを使用して独自の CO₂ の排出量を監視できると想定しています。

位置解析の技術によって、ユーザーは特定の近隣地域や高速道路にズームして、その地域の CO₂ 排出量をより詳細に表示できます。地図上でスライダーをドラッグすると、温室効果ガスの排出量が長年にわたってどのように増加または減少したかを示す前後の画像を表示することができます。

この例は地理とデータサイエンスを融合させたアプローチによるものです。都市の産業地帯近くの住民や企業構内の労働者は、このようなスマートマップを使用して、地域ブロックごとに CO₂ 排出量を測定できます。

ロケーション インテリジェンス(Location Intelligence)と呼ばれる地図を利用した空間の傾向とパターンに関する洞察は、コミュニティのステークホルダーによる意思決定の要素になり得ます。
地理的な文脈で温室効果ガスの排出量がわかれば、地元自治体の指導者は CO₂ 排出量の削減やカーボンニュートラルの目標を達成するために、特定の地域での開発を制限したり、土地利用規制を変更したりする可能性があります。

 CO₂ データが公共的な知識となる

“Seeing the Unseen” (見えないものを可視化) アプリは、倉庫の中や最新鋭のオフィスビル付近で働く人達の空気環境を評価するために、企業にも役立つ可能性があります。逆に空間解析テクノロジーの可用性の向上によって、自社の温室効果ガスの排出対策をしていない組織にとっては、ビジネスリスクが高まる可能性があります。

競争は新しいビジョンを刺激します

“Seeing the Unseen” (見えないものを可視化) アプリは、持続可能な未来に捧げられた最近のハッカソンで 2 位を獲得しました。アプリとその背後にあるチームの詳細をご覧ください

ビジネスリーダーが自社のデータを自発的に開示するかどうかに関係なく(とある調査では、CO₂ 排出量の情報を開示している企業は公開企業の内 3 分の 1 未満との事)、リモートセンシング機能の台頭を通じて公開されるかもしれません。排出量の記録が不十分であれば、企業の評判の低下を引き起こしたり、当局からの規制が強化されたりする可能性があります。

実際、金融機関が融資先の判断材料として持続可能性への対応状況を含めていくにつれて、空間金融と知られる新しい分野が生まれました。GIS・衛星画像・人工知能などのテクノロジーを組み合わせて使用することで、銀行は自社の経営幹部が知っているよりも、その企業の CO₂ 排出抑制への貢献状態について詳しく知ることができます。クリーンエネルギーの利用などの対策による排出量の監視または軽減を怠る企業は、投資リスクと見なされる可能性があります。

ことわざにあるように、「知識は力」であり、GIS のようなテクノロジーはデータの透明性の波をもたらしています。賢い企業は、気づかずに捕らえられるのではなく、ビジネスリスクを先取りすることで、そのデータを有利に活用しています。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。
原文: NextTech: Making Unseen Emissions Visible